ファクタリング

ファクタリングで刑事告訴される?正しい知識で安全に利用する方法

2025.03.13

この記事の要点

  1. ファクタリングと刑事告訴の関係を法的根拠に基づいて正確に理解でき、不安を解消しながら安全な資金調達手段として活用できます。
  2. 信頼できる業者選定から契約書チェック、適正手数料の見極めまで実践的な知識を習得し、法的トラブルを未然に防げます。
  3. 短期資金需要への適切な活用法と財務健全性を保つ利用頻度を学び、持続可能な経営基盤の構築に役立てられます。

目次

ATOファクタリング

1. はじめに

本記事では、ファクタリング利用における刑事告訴リスクについて、法的根拠に基づいた正確な情報を提供します。金融庁や法務省の最新見解、民法改正の影響、実際の判例を踏まえ、どのような場合にリスクが生じるのか、どう回避すべきかを具体的に解説します。

資金繰りに悩む経営者が抱く「ファクタリングを利用して刑事告訴されるのではないか」という不安に対し、専門的かつ実践的な知識を提供することで、安全で効果的な資金調達を実現していただくことが本記事の目的です。

適法なファクタリング取引と違法行為の境界線を明確にし、信頼できる業者の選び方から契約時の注意点、トラブル発生時の対処法まで、実務に直結する情報を網羅的にお伝えします。

1-1. 資金繰りに悩む経営者とファクタリングの関係

事業運営において資金繰りの問題は、多くの経営者が直面する深刻な課題です。特に中小企業においては、売掛金の回収サイクルと支払いサイクルのギャップが資金ショートを引き起こす主な原因となっています。

このような状況下で注目されているのが「ファクタリング」という金融サービスです。売掛債権を現金化することで即座に資金調達ができる点が魅力となり、近年利用企業が増加しています。

銀行融資と比較して審査のハードルが低く、手続きが迅速である点もファクタリングの大きな特徴です。資金繰りに窮した際の「最後の砦」として考える経営者も少なくありません。

しかしながら、ファクタリングは適切に利用しなければ法的リスクを伴う可能性があることも事実です。特に「刑事告訴」という言葉に不安を感じている経営者も多いのではないでしょうか。

1-2. 刑事告訴のリスクに対する不安と本記事の目的

「ファクタリングを利用して刑事告訴されるリスクはあるのか」「どのような点に注意すれば安全に利用できるのか」といった疑問は、資金繰りに悩む経営者にとって切実な問題です。

インターネット上には様々な情報が混在しており、中には不正確な内容や過度に不安を煽るような記述も見受けられます。このような状況は、適切な判断を下す上で妨げとなります。

本記事では、ファクタリングと刑事告訴の関係について正確な情報を提供し、安全にファクタリングを活用するための具体的な指針を示すことを目的としています。

法的リスクを理解した上で適切にファクタリングを利用することで、資金繰り改善という本来の目的を達成し、事業継続・発展につなげていただきたいと考えております。

ファクタリングは正しく利用すれば有効な資金調達手段となる一方で、誤った利用方法は法的トラブルを招く恐れがあります。本記事を通じて、その境界線を明確にしていきましょう。

2. ファクタリングの基本と刑事告訴リスク

2-1. ファクタリングとは何か?基本的な仕組み

ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権を第三者(ファクタリング会社)に譲渡し、即時に現金化するサービスです。通常の債権回収を待たずに資金を調達できるため、資金繰りの改善に効果的な手段として活用されています。

法的観点からファクタリングは「債権譲渡」として位置づけられます。日本の民法上、債権譲渡は有効な法律行為として認められており、原則として債権者の意思表示のみで譲渡が可能です。

2020年4月に施行された改正民法では、債権譲渡に関する規定がより明確化されました。民法第466条第1項では「債権は、譲り渡すことができる」と規定されており、債権の譲渡性が原則として認められています。

ファクタリングには大きく分けて「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」があります。2社間は利用企業とファクタリング会社の間で完結する取引であるのに対し、3社間は債務者(売掛先)も取引に関与する形態です。

2-2. 刑事告訴されるリスクがあるケースとは

ファクタリングに関連して刑事告訴されるリスクがあるケースは、主に不正や虚偽の要素が含まれる取引に集中しています。正当な債権譲渡としての実態を伴わない取引や、故意に違法行為を行った場合に刑事責任が問われる可能性が生じます。

金融専門家の見解によれば、刑事告訴に至るケースは主に悪質な詐欺的行為や出資法違反が明確な事例に限られており、適法に運営している事業者や利用企業が刑事責任を問われるリスクは低いとされています。

具体的には、存在しない架空の売掛債権を利用したファクタリング、すでに回収済みの債権を二重に譲渡するケース、あるいは債務者との共謀による詐欺的行為などが該当します。これらは刑法上の詐欺罪に問われる可能性があります。

また、ファクタリングの形式を装いながら実質的には金銭消費貸借(貸金)となる取引において、出資法で定められた上限金利を超える利息を設定した場合は、出資法違反として刑事責任を問われるリスクがあります。

2-3. 詐欺罪と二重譲渡のリスク

詐欺罪(刑法第246条)は、人を欺いて錯誤に陥れ、財物や財産上の利益を得る行為を処罰する規定です。ファクタリングにおいて詐欺罪が問われるケースには、主に以下のようなパターンが考えられます。

架空の売掛債権を実在するものとして偽り、ファクタリング会社から資金を調達するケースは典型的な詐欺行為に該当します。請求書や契約書を偽造し、存在しない取引を実在するように装う行為は明らかな犯罪行為です。

債権の「二重譲渡」とは、同一の債権を複数の譲受人に重ねて譲渡する行為を指します。民法上、債権譲渡の優劣は対抗要件(確定日付のある証書による通知または承諾)を具備した順序によって決まります。

二重譲渡そのものは民事上の問題ですが、特定の状況下では刑事責任、特に横領罪(刑法第252条)や詐欺罪に問われるリスクがあります。これは二重譲渡の態様や故意性によって判断が分かれます。

最初の債権譲渡の事実を認識しながら、故意に二度目の譲渡を行い、二度目の譲受人から金銭を得る行為は詐欺罪に該当する可能性があります。この場合、債権がすでに第三者に譲渡されているという重要事実を秘匿したことが欺罔行為となります。

2-4. 違法な金利設定と出資法違反

ファクタリングは本来、債権譲渡として法的に位置づけられるため、貸金業とは異なり、利息制限法や出資法の金利規制の対象外とされています。しかし、形式上はファクタリングであっても、実質的に金銭消費貸借(貸金)と判断される場合は、これらの規制が適用される可能性があります。

出資法では、貸金業者が年20%(2025年5月現在)を超える金利で貸付を行うことを禁止しています(出資法第5条第2項)。実質的に貸金と判断されるファクタリング取引で、この上限を超える金利相当のコストが発生する場合、出資法違反として刑事罰の対象となる可能性があります。

実質的に貸金と判断される典型的なケースとして、ファクタリング会社が債権回収リスクを利用企業に転嫁する契約(買戻し条件付きファクタリングなど)や、債権譲渡の実体を伴わない取引などが挙げられます。

正当なファクタリング取引として評価されるためには、債権譲渡の実体を伴うこと、買取価格が債権のリスクに見合ったものであること、債権回収のリスクがファクタリング会社に移転していることなどが重要な要素となります。

3. 安全なファクタリング利用のためのチェックポイント

3-1. 信頼できるファクタリング業者の選び方

安全にファクタリングを利用するための第一歩は、信頼できる業者を選ぶことです。現在、ファクタリング業は特定の業法による規制がなく、参入障壁が低いため、様々な業者が存在しています。

まず、業歴や実績を確認することが重要です。長期間にわたって事業を継続している業者は、それだけ多くの取引実績と信頼の蓄積があると考えられます。ウェブサイトや会社案内などで実績年数や取引件数を確認しましょう。

次に、会社の透明性をチェックします。正式な会社登記がされているか、所在地や代表者が明確に公開されているか、法人番号を有しているかなどを確認することが大切です。匿名性の高い業者や、実態が不明瞭な業者との取引は避けるべきでしょう。

業界団体への加盟状況も参考になります。ファクタリング業界では、適正な取引を促進するため、一般社団法人日本ファクタリング協会などの団体が自主規制ガイドラインを策定し、会員企業に対して法令遵守と適正な取引の実施を促しています。

金融庁による悪質業者への監視も強化されています。金融庁は「ファクタリングに関する相談窓口」を設置し、不当な取引に関する情報収集や相談対応を行っています。金融庁のウェブサイトでは、定期的に問題のある業者に関する情報や消費者向けの注意事項が公表されています。

3-2. 契約書の重要なチェックポイント

ファクタリング契約を締結する際は、契約書の内容を詳細に確認することが非常に重要です。契約書は後々のトラブル防止や、万が一の際の証拠としても機能するため、以下のポイントを必ずチェックしましょう。

まず、譲渡対象債権の特定が明確になっているかを確認します。債権の発生原因、金額、債務者、支払期日などが具体的かつ正確に記載されていることが必要です。曖昧な表現や誤りがあると、後に債権の同一性をめぐる争いが生じる可能性があります。

次に、買取価格(割引率)と支払条件が明示されているかをチェックします。いくらで債権を譲渡し、いつどのような方法で支払いを受けるのかが明記されていなければなりません。追加費用や条件付きの支払いがある場合は、その詳細も確認しましょう。

債権譲渡の法的効力に関する条項も重要です。特に譲渡の対抗要件(通知や承諾など)についての取り決めや、二重譲渡防止のための条項が含まれているかを確認します。これらは後のトラブルを予防するための重要な要素です。

表明保証条項にも注意が必要です。譲渡する債権の存在や有効性について、どのような保証を求められているかを確認しましょう。過度に広範な保証を求められる場合は、リスクが高まる可能性があります。

3-3. 適正な手数料・金利の見極め方

ファクタリング取引における手数料(割引率)は、サービスの対価としてコスト構造に直接影響する重要な要素です。適正な手数料を見極めるためのポイントを解説します。

まず、手数料の一般的な相場感を把握しておくことが重要です。ファクタリングの手数料(割引率)は、一般的に譲渡債権額の5%〜15%程度が相場とされています。

債務者の信用力は最も重要な変動要因です。上場企業や大企業など信用力の高い債務者の債権は手数料が低く(3%前後)、中小企業向けの債権では10〜20%程度が一般的です。特殊な状況や高リスク債権では25%を超えるケースもあります。

業界や取引状況によって手数料水準は異なるため、複数の業者から見積もりを取得して比較検討することが重要です。各業者の手数料の算定根拠を確認し、透明性のある説明ができる業者を選ぶようにしましょう。

重要なのは、提示された手数料が債権のリスクに見合ったものであるかを判断することです。著しく高額な手数料は、実質的な金利として出資法違反のリスクがあることに加え、資金繰り改善という本来の目的を損なう可能性があります。

3-4. 債権譲渡の正しい手続きと通知方法

ファクタリング取引を法的に安定させるためには、債権譲渡の手続きを正確に行うことが不可欠です。特に重要なのが「対抗要件」の具備で、これにより譲渡の効力を第三者に主張できるようになります。

民法第467条に基づき、債権譲渡の対抗要件としては、債務者に対する通知または債務者からの承諾が必要です。さらに債務者以外の第三者に対しては、確定日付のある証書による通知または承諾が必要となります。

債務者への通知は、内容証明郵便で行うことが一般的です。通知には譲渡する債権の特定、譲受人の情報、支払先の変更などを明記します。これにより、債務者は新たな債権者(ファクタリング会社)に対して支払う法的義務を負います。

より強力な対抗要件として、債権譲渡登記制度の活用も検討に値します。法務局で債権譲渡登記を行うことで、確定日付のある証書による通知と同等の効力を得ることができます。特に大量の債権を譲渡する場合に効率的です。

2023年の「民間事業者等によるインターネットを用いた確定日付の取得等に関する法律」の施行により、オンラインでの確定日付取得も可能になりました。24時間いつでもオンライン上で確定日付を取得できるようになり、従来の公証役場への訪問が不要になったため、手続きの利便性が大幅に向上しました。

4. 問題が発生した場合の対処法と合法的活用

4-1. トラブル発生時の初期対応

ファクタリング取引においてトラブルが発生した場合、初期対応が問題解決の成否を大きく左右します。冷静かつ適切な対応を行うためのポイントを解説します。

まず、問題が発生した際は、感情的になるのではなく、事実関係を客観的に整理することが重要です。契約書、メールのやり取り、通知の記録など、取引に関連する全ての書類や証拠を収集・整理しましょう。

次に、相手方(ファクタリング会社や債務者)との対話を試みることが重要です。多くの場合、誤解や認識の齟齬がトラブルの原因となっていることがあるため、まずは冷静な話し合いによる解決を模索すべきです。

対話による解決が困難な場合は、早期に専門家(弁護士など)に相談することをおすすめします。法的な観点からの助言を受けることで、より効果的な対応が可能になります。

特に、刑事告訴の恐れがあるようなケース(詐欺的行為の疑いがある場合など)では、早急に弁護士に相談し、適切な対応策を検討することが重要です。自社の正当性を証明するための証拠保全も忘れてはなりません。

4-2. 弁護士への相談タイミングと選び方

ファクタリングに関するトラブルが発生した場合、弁護士への相談は非常に有効な手段です。適切なタイミングで適切な弁護士に相談することで、問題解決の可能性が高まります。

弁護士に相談すべきタイミングとしては、相手方から刑事告訴や法的措置を示唆された場合は、速やかに弁護士に相談すべきです。また、相手方との交渉が平行線をたどり、自社だけでの解決が困難と判断した場合も、早期の相談が望ましいです。

弁護士を選ぶ際のポイントとしては、まずファクタリングや債権譲渡に関する知識・経験を持つ弁護士を選ぶことが重要です。弁護士によって得意分野が異なるため、関連分野の実績を確認しましょう。

初回相談時の対応や説明の明確さも重要な判断材料です。複雑な法律問題をわかりやすく説明できる弁護士であれば、今後のコミュニケーションもスムーズに進む可能性が高いでしょう。

弁護士との相談の際は、事実関係を正確に伝えることが重要です。自社に不利な情報も含めて全てを開示することで、より的確なアドバイスを受けることができます。

4-3. 事業資金としての適切な活用法

ファクタリングは短期的な資金調達手段として活用する場合に最も効果を発揮します。特に売掛金の回収サイクルと支払いサイクルのギャップを埋めるための「つなぎ資金」として利用することで、資金繰りの安定化に貢献します。

例えば、大口取引先からの入金が翌月末であるにもかかわらず、原材料の仕入れや人件費の支払いが当月中に発生するようなケースでは、ファクタリングによる売掛債権の早期現金化が有効です。

また、季節性のある事業や繁忙期に備えた在庫確保が必要なビジネスにおいても、一時的な資金需要に対応する手段としてファクタリングは有用です。

ただし、赤字経営の穴埋めや、返済の見込みがない債務の返済原資としてファクタリングを利用することは避けるべきです。根本的な経営課題を解決せずに一時的な資金調達に依存することは、さらなる経営悪化を招く恐れがあります。

合法的かつ効果的なファクタリングの活用には、その特性を理解し、適切なシーンで適切な規模で利用することが重要です。経営状況や資金需要を冷静に分析し、ファクタリングが最適な選択肢かどうかを見極めましょう。

4-4. 健全な財務状況を維持するための利用頻度

ファクタリングは即時の資金調達に有効ですが、過度に依存することは財務の健全性を損なう恐れがあります。適切な利用頻度を維持することが、長期的な経営安定につながります。

一般的に、ファクタリングは臨時的・一時的な資金需要に対応するための手段と位置づけるべきです。恒常的に全ての売掛債権をファクタリングに回すような運用は、高コストの資金調達を常態化することになり、収益性を圧迫します。

健全な利用頻度の目安としては、年間の売上高に占めるファクタリング利用額の割合が一定水準(例えば15〜20%程度)を超えないようにすることが望ましいでしょう。ただし、この数値は業種や事業規模によって適切な水準が異なります。

ファクタリングの利用頻度が増加傾向にある場合は、根本的な財務体質の改善を検討するタイミングかもしれません。資金繰り表の見直しや経費削減、与信管理の強化など、根本的な対策を並行して実施することが重要です。

健全なファクタリング利用の指標として、利用後の資金繰りが改善しているかどうかを定期的に評価することも有効です。単に資金調達手段として活用するだけでなく、その後の事業成果や財務状況の改善につながっているかを検証しましょう。

5. よくある質問(FAQ)

5-1. ファクタリングを利用しただけで刑事告訴されることはありますか?

適法なファクタリング取引を行っただけで刑事告訴されることはありません。ファクタリングは債権譲渡という民法上認められた取引であり、適切に行えば何ら違法性はありません。刑事告訴のリスクが生じるのは、詐欺的行為や違法な金利設定など、取引に不正な要素が含まれる場合です。

金融専門家の見解によれば、刑事告訴に至るケースは主に悪質な詐欺的行為や出資法違反が明確な事例に限られており、適法に運営している事業者や利用企業が刑事責任を問われるリスクは低いとされています。

5-2. ファクタリングでよく問題となる刑法上の罪名は何ですか?

ファクタリングに関連して問題となり得る主な罪名としては、詐欺罪(刑法246条)、横領罪(刑法252条)、出資法違反(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)などが挙げられます。いずれも正当なファクタリング取引では問題とならないものですが、取引の実態が貸金であるにもかかわらず債権譲渡と偽装する場合などに問題となり得ます。

5-3. 架空の売掛金でファクタリングを利用した場合、どのような罪に問われる可能性がありますか?

架空の売掛金をあたかも実在する債権のように偽ってファクタリングを利用した場合、詐欺罪に問われる可能性が高いです。この場合、ファクタリング会社を欺いて金銭を騙し取ったことになるため、悪質性が高いと判断される可能性があります。詐欺罪は10年以下の懲役に処される重い犯罪です。

5-4. ファクタリング契約書に必ず含めるべき内容は何ですか?

ファクタリング契約書には、最低限以下の内容を含めるべきです。①譲渡対象債権の特定(債務者、金額、支払期日など)、②買取価格(割引率)と支払条件、③債権譲渡の対抗要件の具備方法(通知方法など)、④債務者の不払い時の取り扱い(遡及権の有無など)、⑤表明保証条項(債権の存在や有効性の保証)、⑥紛争解決方法(管轄裁判所の指定など)。

特に重要なのは、債権の特定と買取条件の明確化です。取引の透明性を確保し、後のトラブルを予防するためにも、曖昧な表現は避け、具体的かつ明確な条件設定を心がけましょう。

5-5. 債権譲渡登記はどのように行うのですか?

債権譲渡登記は法務局で行います。具体的には、①譲渡人(債権者)と譲受人(ファクタリング会社)の情報、②譲渡対象債権の特定情報、③譲渡日などの情報を記載した申請書を作成し、法務局に提出します。手続きは専門的なため、司法書士などの専門家に依頼することが一般的です。

2024年時点では、電子申請の場合は1件当たり7,500円から(債権数により変動)、書面申請の場合は8,500円からの登録免許税が必要です。

5-6. ファクタリング契約に含まれる「遡及」とは何ですか?

ファクタリング契約における「遡及」とは、譲渡した債権が不良化した場合(債務者が支払わない場合など)に、ファクタリング会社が元の債権者(利用企業)に対して債権の買戻しを求めることができる権利を指します。遡及条項がある場合、利用企業は債権回収リスクを完全に移転できないことになるため、実質的には貸金的な性質を帯びる可能性があります。

近年の裁判例では、遡及条項の存在が取引の実質を判断する重要な要素として考慮される傾向があります。

6. まとめ

ファクタリングは適法な債権譲渡取引であり、正しい知識と手続きに基づいて利用すれば刑事告訴されるリスクはありません。

刑事告訴に発展するケースは、架空債権の利用や二重譲渡、違法な金利設定など、明らかな不正行為に限られます。金融専門家の見解でも、適法に運営している事業者や利用企業が刑事責任を問われる可能性は極めて低いとされています。

安全なファクタリング利用の要点は以下の通りです。

信頼できる業者の選定では、業歴・実績の確認、会社の透明性チェック、業界団体への加盟状況を重視しましょう。契約書の内容確認では、債権の特定、買取条件、対抗要件の具備方法を必ず確認することが重要です。

2020年の民法改正と2023年の確定日付取得法改正により、債権譲渡手続きはより明確化・効率化されています。これらの法改正を踏まえた適切な手続きを行うことで、法的安定性の高い取引が実現できます。

ファクタリングは短期的な資金需要に対応する補完的手段として位置づけ、恒常的な依存は避けることが財務健全性の維持につながります。正しい知識と適切な判断により、ファクタリングを事業成長のための有効な手段として活用しましょう。

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