資金調達

カーボンニュートラル実現に向けた資金調達 – グリーンボンドの活用方法とは

2025.01.07

この記事の要点

  1. 企業や自治体がカーボンニュートラルを実現するための資金調達手段として、グリーンボンドの基本的な仕組みから実務的な活用方法までを体系的に解説している。
  2. グリーンボンドの発行プロセス、資金管理、情報開示などの実務面での留意点を具体的に説明しながら、環境価値の創出と企業価値向上の両立方法を提示している。
  3. 環境省ガイドラインやICMAグリーンボンド原則への準拠方法を踏まえつつ、持続可能な環境戦略における効果的な活用方法と将来展望について論じている。

目次

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1. グリーンボンドの基礎知識

1-1. グリーンボンドとは

グリーンボンドは、環境改善効果のある事業に要する資金を調達するために発行される債券です。この金融商品は、発行体が調達した資金の使途を環境関連プロジェクトに限定することを約束して発行する債券という特徴を有しています。

国際資本市場協会(ICMA)が定めるグリーンボンド原則では、再生可能エネルギー事業、省エネルギー事業、汚染防止および管理、生物自然資源および土地利用に係る環境持続型管理、陸上および水生生物の多様性の保全、クリーン輸送、持続可能な水資源および廃水管理、気候変動への適応、環境配慮製品、環境配慮技術およびプロセスなどが適格なプロジェクトとして例示されております。

グリーンボンドの最大の特徴は、調達資金の使途が環境改善効果のある事業に限定される点にあります。この特徴により、発行体は環境への取り組みを投資家に対して明確に示すことが可能となり、投資家は投資を通じて環境問題の解決に貢献することができます。

グリーンボンドは、世界銀行が2008年に初めて発行して以来、世界的に発行額が増加しています。特に2015年のパリ協定採択以降、気候変動対策の重要性が国際的に認識され、グリーンボンド市場は急速に拡大しています。

1-2. グリーンボンドの特徴と基本的な仕組み

グリーンボンドの基本的な仕組みは、発行体が環境改善効果のある事業に要する資金を調達するために債券を発行し、投資家がその債券を購入することで成立いたします。発行体は、調達した資金を環境関連プロジェクトに充当し、定期的に投資家へ利息を支払い、満期時には投資元本を償還する義務を負います。

グリーンボンドの発行にあたっては、国際資本市場協会(ICMA)が定めるグリーンボンド原則に準拠することが求められています。この原則では、調達資金の使途、プロジェクトの評価と選定のプロセス、調達資金の管理、レポーティングという4つの核となる要素が規定されております。

グリーンボンドの特徴的な点として、第三者機関による外部評価の取得が挙げられます。この外部評価により、環境改善効果の客観性が担保され、投資家に対する説明責任が果たされることとなります。

発行体は定期的なレポーティングを通じて、調達資金の充当状況や環境改善効果について情報開示を行うことが求められています。この透明性の高い情報開示により、投資家は自身の投資が環境改善にどのように貢献しているかを把握することが可能となります。

1-3. 従来の社債との違いと特性

従来の社債とグリーンボンドの最も大きな違いは、調達資金の使途にあります。通常の社債では、調達資金の使途に制限はありませんが、グリーンボンドでは環境改善効果のある事業に限定されております。

グリーンボンドは、環境改善効果の評価や情報開示など、通常の社債には求められない追加的な対応が必要となります。そのため、発行体には従来の社債発行時よりも高度な管理体制の構築が求められることとなります。

財務的な特性については、利率や償還期間などの基本的な商品性は従来の社債と同様です。ただし、投資家の環境への関心の高まりにより、グリーンボンドは通常の社債と比較して、より有利な条件での起債が可能となる場合もございます。

環境問題への意識が高まる中、グリーンボンドは発行体の環境への取り組みを示す有効なツールとして認識されています。このため、従来の社債とは異なり、投資家との対話を通じた関係強化や企業価値向上にも寄与する可能性を秘めております。

1-4. グリーンボンド市場の現状と発展経緯

グリーンボンド市場は2008年の世界銀行による初発行以降、持続的な成長を続けております。特に2015年のパリ協定採択を契機として、気候変動対策の重要性が国際的に認識され、市場規模は急速に拡大いたしました。

日本におけるグリーンボンド市場は、2017年に環境省がグリーンボンドガイドラインを策定したことを契機として、発行体の裾野が広がりました。企業や金融機関に加え、地方自治体による発行も増加しており、市場の多様化が進んでいます。

市場の発展に伴い、グリーンボンドの発行体や投資家層も拡大しています。事業会社による発行においては、環境負荷の高い産業に属する企業が、自社の環境戦略を示すツールとしてグリーンボンドを活用する事例が増加しております。

投資家層については、ESG投資への関心の高まりを背景に、年金基金や保険会社などの機関投資家による投資が拡大しています。個人投資家向けの商品も登場し、投資家層の裾野は着実に広がりを見せております。

2. カーボンニュートラル実現とグリーンボンド

2-1. カーボンニュートラルにおけるグリーンボンドの役割

カーボンニュートラルの実現には、再生可能エネルギーの導入や省エネルギー設備への投資など、大規模な資金需要が発生いたします。グリーンボンドは、これらの環境投資に必要な長期資金を市場から調達する有効な手段として注目を集めています。

企業がカーボンニュートラル目標を達成するためには、事業構造の転換や新技術の導入など、長期的な視点での投資が必要となります。グリーンボンドは、このような長期的な環境投資を支える資金調達手段として重要な役割を果たしています。

金融機関にとってグリーンボンドは、環境分野への融資原資を市場から調達する手段となります。調達した資金を環境関連プロジェクトへの融資に充当することで、間接的にカーボンニュートラルの実現に貢献することが可能となります。

2-2. 環境プロジェクトにおける資金調達手段としての位置づけ

環境プロジェクトの資金調達手段としては、グリーンボンドの他にも、グリーンローンやサステナビリティ・リンク・ローンなど、多様な選択肢が存在いたします。その中でグリーンボンドは、市場を通じた資金調達という特性により、大規模な資金調達が可能となる点が特徴的です。

グリーンボンドの発行は、環境プロジェクトの規模や期間に応じて柔軟な設計が可能となります。長期の環境投資に対しては長期の債券を、短期の運転資金に対しては短期の債券を発行するなど、プロジェクトの特性に合わせた資金調達が実現できます。

環境プロジェクトの実施にあたっては、投資回収期間が長期化する傾向にあります。グリーンボンドは、このような長期の資金ニーズに対応する調達手段として適しており、プロジェクトの実現可能性を高めることに寄与いたします。

2-3. グリーンボンドによる環境価値の創出

グリーンボンドは、環境改善効果という非財務的な価値を創出する金融商品です。この環境価値は、発行体の企業価値向上に寄与するとともに、投資家に対しても環境貢献の機会を提供することとなります。

環境価値の定量化にあたっては、CO2排出削減量や再生可能エネルギー発電量など、具体的な指標を用いた評価が行われます。この評価結果は定期的なレポーティングを通じて投資家に開示され、投資の環境改善効果が可視化されます。

グリーンボンドによる環境価値の創出は、発行体の環境戦略の実効性を高めることにも貢献いたします。環境目標の達成に向けた具体的な行動と、その成果を市場に示すことで、環境への取り組みの信頼性が向上することとなります。

2-4. ESG投資における重要性と投資家の評価

ESG投資において、グリーンボンドは環境(Environment)要素への直接的な投資機会を提供する金融商品として重要な位置づけにあります。投資家は、グリーンボンドへの投資を通じて、具体的な環境改善効果を有するプロジェクトを支援することが可能となります。

機関投資家においては、運用ポートフォリオのESGパフォーマンス向上を目的として、グリーンボンドへの投資を拡大する動きが見られます。年金基金や保険会社など長期運用を志向する投資家にとって、グリーンボンドは安定的なリターンと環境貢献を両立する投資対象として評価されております。

投資家による評価のポイントは、環境改善効果の確実性と透明性にあります。第三者機関による外部評価の取得や、定期的なレポーティングを通じた情報開示により、投資判断の客観性が担保されることとなります。

3. グリーンボンド発行のプロセスと実務

3-1. グリーンボンド発行の準備と手順

グリーンボンド発行の準備にあたっては、まず環境戦略との整合性を確認することが重要となります。発行体の環境目標や取り組み方針に基づき、調達資金の使途となる適格プロジェクトを特定いたします。

発行体内部では、財務部門と環境部門が連携し、グリーンボンド発行のための体制を構築する必要があります。プロジェクトの評価・選定から資金管理、レポーティングまでの一連のプロセスについて、明確な役割分担と手順を定めることが求められます。

外部機関との協働も重要な要素となります。引受証券会社との発行条件の検討、格付機関による評価、外部評価機関によるレビューなど、様々な関係者との連携が必要となります。これらの関係者との協議を通じて、市場のニーズに合致した商品設計が実現されます。

3-2. 資金使途の特定と環境改善効果の評価方法

資金使途の特定においては、国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則に示される適格プロジェクトの分類を参照することが基本となります。再生可能エネルギー事業、省エネルギー事業、環境配慮型建築物の建設など、環境改善効果が明確なプロジェクトを選定いたします。

環境改善効果の評価にあたっては、定量的な指標の設定が重要となります。CO2排出削減量、エネルギー使用量の削減率、再生可能エネルギーの発電容量など、プロジェクトの特性に応じた評価指標を選択し、具体的な目標値を設定いたします。

評価方法の妥当性については、外部評価機関によるレビューを受けることが一般的です。評価指標の選定や算定方法の適切性について、第三者の視点からの確認を受けることで、評価の客観性が担保されることとなります。

3-3. フレームワークの設計とグリーンボンド原則への準拠

グリーンボンドフレームワークは、発行体の環境戦略やプロジェクトの特性を反映した、実務的な運営指針となります。調達資金の使途、プロジェクトの評価・選定プロセス、資金管理方法、レポーティング方針など、グリーンボンド発行に関する基本方針を体系的に整理いたします。

フレームワークの設計にあたっては、グリーンボンド原則の4つの核となる要素への適合性を確保することが求められます。各要素について具体的な対応方針を定め、市場関係者からの信頼を獲得することが重要となります。

発行体の事業特性や組織体制を踏まえ、実務的に運用可能なフレームワークを構築することが成功の鍵となります。形式的な対応ではなく、実効性のある運営体制の確立を目指すことが望ましい姿勢といえます。

3-4. 外部レビューの取得と第三者認証

外部レビューは、グリーンボンドの信頼性を担保する重要な要素となります。発行前レビューでは、フレームワークのグリーンボンド原則への適合性や、環境改善効果の評価方法の妥当性について、第三者機関による客観的な評価が実施されます。

外部評価機関の選定にあたっては、評価機関の実績や市場での認知度を考慮することが重要となります。グローバルな評価機関による評価を取得することで、国際的な投資家からの信頼獲得にもつながることとなります。

発行後の定期的なレビューについても、計画的な実施が求められます。資金の充当状況や環境改善効果の達成状況について、継続的な第三者評価を受けることで、投資家に対する説明責任を果たすことが可能となります。

4. グリーンボンドの管理と報告

4-1. 調達資金の管理方法と透明性確保

調達資金の管理においては、適格プロジェクトへの充当状況を正確に把握することが重要となります。専用の口座を設定することで、グリーンボンドによる調達資金を他の資金と区分して管理することが一般的な方法です。

未充当資金が発生する場合には、適切な運用方法を予め定めておく必要があります。安全性の高い金融商品での一時的な運用や、他の環境関連プロジェクトへの充当など、運用方針を明確にすることが求められます。

資金管理の透明性確保のため、内部統制体制の整備も重要となります。定期的な監査や、充当状況の確認プロセスを確立することで、適切な資金管理の実効性が担保されることとなります。

4-2. 環境改善効果の測定と評価

環境改善効果の測定においては、プロジェクトの特性に応じた適切な評価指標の設定が基本となります。CO2排出削減量や再生可能エネルギー発電量などの定量的指標に加え、生物多様性の保全など定性的な効果についても、可能な限り具体的な評価基準を設定いたします。

評価の実施にあたっては、データの収集体制の整備が重要となります。プロジェクト実施部門との連携により、必要なデータを定期的かつ正確に収集する仕組みを構築することが求められます。収集したデータは、第三者機関による検証を受けることで、その信頼性が担保されることとなります。

環境改善効果の評価結果は、当初設定した目標値との比較分析を行うことが重要です。目標達成が困難な状況が確認された場合には、その要因分析と改善策の検討を行い、必要に応じて投資家への説明を実施することが求められます。

4-3. 投資家向け情報開示とレポーティング

投資家向けレポーティングは、通常年次で実施されます。レポートには、調達資金の充当状況、環境改善効果の実績、プロジェクトの進捗状況など、投資家の投資判断に必要となる情報を網羅的に記載することが求められます。

情報開示の方法については、投資家が容易にアクセス可能な形式を選択することが重要となります。ウェブサイトでの公開や統合報告書への掲載など、効果的な開示手段を選択することで、投資家とのコミュニケーションが促進されることとなります。

開示情報の信頼性確保のため、第三者機関による検証を受けることも一般的な実務となっております。特に環境改善効果の実績値については、算定方法の妥当性や数値の正確性について、客観的な評価を受けることが望ましい対応といえます。

4-4. グリーンウォッシュ防止のための体制整備

グリーンウォッシュとは、実際の環境改善効果が伴わないにもかかわらず、環境に配慮した取り組みを行っているように見せかけることを指します。グリーンボンドの信頼性を維持するためには、グリーンウォッシュを防止する体制の整備が不可欠となります。

グリーンウォッシュ防止の基本は、環境改善効果の実質性の確保にあります。プロジェクトの選定段階から、具体的かつ測定可能な環境改善効果が見込まれることを慎重に評価することが重要です。形式的な環境配慮ではなく、実質的な環境負荷低減に寄与するプロジェクトを選定することが求められます。

内部統制の観点からは、プロジェクトの評価・選定における客観性の確保が重要となります。環境部門や財務部門など、複数の部門による横断的な審査体制を構築することで、偏りのない評価が可能となります。

5. グリーンボンド活用のメリットと実務上の留意点

5-1. 発行体にとってのメリットと課題

グリーンボンド発行のメリットとして、投資家層の拡大が挙げられます。ESG投資への関心が高まる中、環境特化型の投資家からの需要獲得が期待できます。このことは、資金調達手段の多様化と調達コストの低減につながる可能性を有しています。

非財務面では、企業の環境への取り組みを市場に示す効果的なツールとなります。環境戦略の実効性を高めるとともに、ステークホルダーとの対話を促進する機会となり、企業価値の向上に寄与することが期待されます。

一方で、グリーンボンド発行には追加的なコストや実務負担が発生いたします。外部評価の取得費用、情報開示体制の整備、継続的なレポーティングなど、通常の社債発行には生じない対応が必要となることに留意が必要です。

5-2. 投資家から見たグリーンボンドの特徴

投資家にとってグリーンボンドは、財務的リターンと環境貢献を両立する投資商品としての特徴を有しています。信用力の高い発行体が多いことから、安定的な利回りが期待できる一方で、投資を通じた環境問題への貢献という付加価値も得られることとなります。

機関投資家においては、運用ポートフォリオのESGパフォーマンス向上に寄与する商品として評価されております。特に年金基金や保険会社など長期運用を志向する投資家にとって、グリーンボンドは重要な投資対象となっています。

投資判断においては、環境改善効果の確実性と情報開示の充実度が重視されます。第三者機関による外部評価の取得や、定期的なレポーティングを通じた透明性の高い情報開示は、投資家の信頼獲得において重要な要素となります。

5-3. 環境省ガイドラインとICMAグリーンボンド原則の要件

環境省のグリーンボンドガイドラインは、国内市場におけるグリーンボンド発行の指針として位置づけられています。国際的な基準であるICMAグリーンボンド原則との整合性を確保しつつ、国内市場の特性を踏まえた実務的な指針を提供しております。

両指針に共通する核となる要素は、調達資金の使途、プロジェクトの評価と選定のプロセス、調達資金の管理、レポーティングの4点です。これらの要素について具体的な対応方針を定め、実効性のある運営体制を構築することが求められます。

グリーンボンドの発行にあたっては、これらの指針への準拠性を確保することが重要となります。特に国内外の投資家を対象とする起債においては、両指針の要件を満たすことで、幅広い投資家層からの需要獲得が期待できることとなります。

5-4. 適切な商品設計と条件設定のポイント

グリーンボンドの商品設計においては、発行体の財務状況と市場環境を総合的に勘案することが重要となります。発行額や償還期間については、環境プロジェクトの資金需要や投資回収期間との整合性を確保することが求められます。

利率の設定にあたっては、通常の社債との比較分析が基本となります。環境への取り組みに対する投資家の評価により、通常の社債と比較して有利な条件での起債が可能となる場合もございます。市場関係者との綿密な協議を通じて、適切な水準を見極めることが重要です。

担保や財務制限条項などの付帯条件については、投資家保護と発行体の事業運営の柔軟性のバランスを考慮した設計が求められます。特に環境プロジェクトの特性を踏まえた条件設定により、円滑な事業運営が可能となる構造を実現することが望ましい対応といえます。

6. カーボンニュートラル戦略における活用

6-1. 環境戦略とグリーンボンドの統合

カーボンニュートラル実現に向けた環境戦略において、グリーンボンドは重要な役割を果たします。長期的な環境目標の達成に必要となる資金を市場から調達する手段として、戦略的な活用が期待されます。

環境戦略とグリーンボンドの整合性確保は、発行の成功に向けた重要な要素となります。環境目標の達成に向けたロードマップを明確化し、その実現のためのファイナンス戦略にグリーンボンドを適切に位置づけることが求められます。

戦略の実行においては、環境部門と財務部門の緊密な連携が不可欠となります。両部門が協働することで、環境戦略の実効性とファイナンスの実現可能性を両立する取り組みが可能となります。

6-2. 企業価値向上につながる活用方法

グリーンボンドの戦略的活用は、企業価値の向上に寄与する可能性を有しています。環境負荷低減への具体的な取り組みを市場に示すことで、企業の環境経営に対する評価向上が期待されます。これは、ESG評価の改善を通じて、企業価値の向上につながることとなります。

ステークホルダーとの関係強化も重要な効果となります。投資家との対話機会の創出や、環境情報の定期的な開示により、企業の環境への取り組みに対する理解が深まることとなります。透明性の高いコミュニケーションは、企業の信頼性向上に寄与いたします。

社内的な効果として、環境経営の実効性向上が挙げられます。グリーンボンドの発行を契機として、全社的な環境への取り組みが加速することが期待されます。環境目標の達成に向けた具体的なアクションが促進されることとなります。

6-3. サステナブルファイナンスにおける位置づけ

サステナブルファイナンスの領域において、グリーンボンドは中核的な商品として位置づけられています。環境改善効果に特化した資金調達手段として、その市場規模は持続的な拡大が見込まれます。

サステナブルファイナンスの発展に伴い、グリーンボンドの商品性も多様化しています。従来型のグリーンボンドに加え、サステナビリティボンドやトランジションボンドなど、環境・社会課題の解決に向けた新たな商品も登場しております。

市場の拡大に伴い、発行体や投資家のニーズも多様化しています。この変化に対応し、グリーンボンドの商品性や評価基準も進化を続けることが予想されます。市場関係者との対話を通じて、適切な商品設計を実現することが重要となります。

6-4. 中長期的な環境戦略の構築と実現

中長期的な環境戦略の構築において、グリーンボンドは重要なツールとなります。環境目標の達成に向けたロードマップを策定し、その実現に必要となる資金調達手段として、計画的な活用を検討することが求められます。

戦略の実現においては、段階的なアプローチが有効となります。初回のグリーンボンド発行で得られた経験や投資家からのフィードバックを活かし、継続的な発行体制の整備を進めることが望ましい対応といえます。市場との対話を通じて、発行体としての信頼性を段階的に向上させることが可能となります。

環境戦略の実効性確保には、定期的なレビューと見直しが不可欠となります。環境目標の達成状況や市場環境の変化を踏まえ、必要に応じて戦略の修正を行うことで、持続的な環境価値の創出が実現されることとなります。

7. まとめ

グリーンボンドは、カーボンニュートラル実現に向けた有効な資金調達手段として、その重要性を増しています。環境改善効果の創出と資金調達を両立する金融商品として、市場からの評価も高まっております。

発行体にとっては、実務的な負担やコストへの対応が求められますが、環境戦略の実効性向上や企業価値向上といった効果も期待できます。グリーンボンドの戦略的な活用により、環境経営の深化と持続的な成長の実現が可能となります。

今後も市場の拡大と商品性の多様化が進むことが予想されます。市場動向を注視しつつ、自社の環境戦略に適合した活用方法を検討することが、発行体に求められる対応といえます。環境価値の創出を通じて、持続可能な社会の実現に貢献することが期待されます。

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