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オンラインファクタリングとは?メリットデメリット従来型との違い

2024.11.08

この記事の要点

  1. オンラインファクタリングの基本概念から法的根拠まで体系的に理解でき、安心して利用検討を進められる知識が得られます。
  2. 従来型との詳細比較により自社に最適な資金調達方法を選択でき、時間とコストの両面で効率的な資金繰りが実現できます。
  3. 個人事業主から中小企業まで具体的な活用シーンと注意点を把握でき、実際の利用時に発生しがちな問題を事前に回避できます。
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1. オンラインファクタリングの基本概念と法的根拠

本記事では、オンラインファクタリングについて法的根拠から実務的な活用方法まで体系的に解説します。デジタル化により急速に普及が進むオンラインファクタリングは、申込みから入金まで全ての手続きをインターネット上で完結させる革新的な資金調達手段です。

従来の対面型ファクタリングと比較して手続きスピードの圧倒的な向上と手数料の大幅削減を実現する一方で、対面相談の制約や悪質業者の判別困難性といった課題も存在します。本記事では、中小企業や個人事業主が適切な判断を行えるよう、メリット・デメリットの詳細分析、最適な活用シーンの特定、信頼できる業者の見分け方まで、実用的な情報を包括的に提供します。

1-1. オンラインファクタリングとは?定義と仕組み

オンラインファクタリングとは、申込みから契約・入金まで全ての手続きをインターネット上で完結させるファクタリングサービスです。従来の対面型ファクタリングとは異なり、ファクタリング会社の事務所への来訪や書類の郵送が不要で、Webブラウザやスマートフォンアプリを通じて売掛債権の現金化が可能となります。

このサービスは2017年に国内初のオンライン完結型ファクタリングの提供が開始されたことを皮切りに、急速に普及が進んでいます。デジタル技術の進歩と新型コロナウイルス感染拡大による非対面ニーズの高まりが、この革新的な資金調達手段の成長を後押ししています。

売掛債権をファクタリング会社に売却する基本的な仕組み自体は従来型と変わりませんが、手続きの全てがデジタル化されている点が最大の特徴です。必要書類はスマートフォンで撮影してアップロードし、電子署名とタイムスタンプを用いた電子契約によって債権譲渡契約を締結します。

1-2. 法的根拠と債権譲渡の合法性

オンラインファクタリングの法的根拠は、民法第466条および第467条に明確に定められています。民法第466条第1項では「債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない」と規定され、売掛債権の譲渡が法的に認められています。

2020年4月1日に施行された改正民法により、債権譲渡に関する法的環境がさらに整備されました。改正前は「当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない」という条項がありましたが、改正後の民法第466条第2項では「当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない」と変更されています。

この法改正により、売掛先との契約書に譲渡禁止特約が付いていても、売掛先の同意なしに売掛債権を譲渡することが可能となり、オンラインファクタリングの利便性がさらに向上しています。また、オンラインファクタリングは貸金業法の適用を受けない合法的な債権売買取引であり、特別な許認可は不要です。

1-3. 従来型との手続き形態の相違点

オンラインファクタリングは主に2社間ファクタリングの形態で提供されています。これは利用企業とファクタリング会社の2者間で契約を締結し、売掛先への通知を行わずに債権を譲渡する方式です。従来型では2社間と3社間の両方が選択可能でしたが、オンライン完結の性質上、3社間ファクタリングの対応は限定的です。

契約手続きにおいても、従来型が紙ベースの契約書への署名・押印を基本とするのに対し、オンラインファクタリングではクラウドサインなどの電子契約サービスを活用します。電子署名法に基づく法的効力を持つ電子契約により、契約締結にかかる時間を大幅に短縮し、即日入金を実現しています。

2. オンラインファクタリングの主要メリットと従来型との比較

2-1. 圧倒的な手続きスピードの実現

オンラインファクタリングの最大のメリットは、申込みから入金までの時間が劇的に短縮されることです。従来型ファクタリングでは書類郵送や対面面談により数日から1週間程度を要していた手続きが、オンラインファクタリングでは最短即日、サービスによっては最短2時間で完了します。

この高速化を支えているのは、AI審査システムの導入です。多くのオンラインファクタリング会社では、アップロードされた書類をAIが自動解析し、売掛債権の信用度を即座に判定します。人的な審査工程を大幅に削減することで、24時間365日の審査対応を実現し、営業時間外でも迅速な審査結果の提供が可能となっています。

従来型ファクタリングでは、電話相談、対面面談、書類郵送、審査、契約書面作成、署名押印、入金という一連のプロセスに通常3日から1週間程度を要します。一方、オンラインファクタリングでは、Web申込み、書類アップロード、AI審査、電子契約、入金という簡素化されたプロセスにより、最短2時間から即日での完了が可能です。

2-2. 手数料の大幅な削減効果

オンラインファクタリングは従来型と比較して手数料が安く設定される傾向にあります。一般的にオンライン型の手数料は2.0%から12.0%程度の範囲で設定されており、従来型の2社間ファクタリングの手数料10.0%から30.0%と比較すると大幅に低くなっています。

この手数料削減は、オンライン化による運営コストの圧縮が主要因です。対面審査や書類郵送にかかる人件費、事務所の賃料、交通費などの諸経費を削減できるため、その分を手数料の引き下げに反映させることが可能となっています。また、AI審査の導入により審査業務の効率化が図られ、人的コストの削減効果も手数料の低下に寄与しています。

従来型ファクタリングでは、手数料以外にも諸費用が発生する場合があります。債権譲渡登記費用、印紙代、交通費、郵送料などを含めると、総費用は表面的な手数料率を上回ることが一般的です。オンラインファクタリングは、手数料以外の追加コストがほとんど発生せず、明示された手数料がそのまま総コストとなります。

2-3. 24時間対応による利便性の向上

オンラインファクタリングでは、インターネット環境があれば時間や場所を選ばずに申込みが可能です。従来型ファクタリングが平日の営業時間内に限定されていたのに対し、オンライン型では24時間365日いつでも手続きを開始できます。

この利便性は特に、多忙な経営者や遠方に所在する事業者にとって大きなメリットとなります。深夜や休日、出張先からでもスマートフォンで申込みができるため、ビジネスチャンスを逃すことなく迅速な資金調達が実現できます。また、地方の中小企業にとっては、都市部のファクタリング会社まで足を運ぶ交通費や時間コストを削減できる効果も期待できます。

システムの自動化により、申込み受付から初期審査まで即座に開始されるため、平日夜間や週末に申し込んでも翌営業日の朝一番には審査結果を確認できます。この迅速性は資金繰りに余裕のない中小企業にとって、事業継続に直結する重要な要素となっています。

2-4. 手続きの簡素化と必要書類の削減

オンラインファクタリングでは必要書類が大幅に削減されており、多くのサービスで請求書と銀行通帳の2点のみで申込みが可能です。従来型ファクタリングでは決算書、登記簿謄本、印鑑証明書など多数の書類提出が求められていましたが、オンライン型では手続きの簡素化が進んでいます。

この書類削減は、AI審査技術の進歩により実現されています。請求書の内容と入金履歴から売掛債権の信用度を高精度で判定できるようになったため、従来必要とされていた企業の財務諸表や登記情報の提出が不要となっています。特に個人事業主にとっては、確定申告書の提出も不要なサービスが増えており、利用ハードルが大幅に下がっています。

3. オンラインファクタリングのデメリットと制約事項

3-1. 対面相談による個別対応の制約

オンラインファクタリングでは、従来型で可能だった対面での詳細な相談や個別事情の説明機会が制限されます。複雑な事業構造や特殊な売掛債権の事情について、担当者と直接話し合いながら最適な条件を交渉することが困難となります。

AI審査による自動化は効率性を高める一方で、定型的でない案件への柔軟な対応力に限界があります。例えば、建設業の出来高請求や医療機関のレセプト債権など、業界特有の複雑な売掛債権については、人的判断による詳細な検討が必要な場合があります。オンライン型では、こうした特殊ケースへの対応が制限される可能性があります。

3-2. 3社間ファクタリング選択肢の限定

オンラインファクタリングの多くは2社間ファクタリングに特化しており、3社間ファクタリングの選択肢が限定されています。3社間ファクタリングは売掛先の承諾が必要となるため、オンライン完結の性質上、対応が困難となっているのが実情です。

3社間ファクタリングは一般的に手数料が2社間より3.0%から5.0%程度低く設定されているため、手数料を重視する事業者にとってはデメリットとなります。従来型ファクタリングの3社間では手数料が1.0%から9.0%程度となることが多く、大口の売掛債権を保有し、売掛先との関係が良好で3社間契約に支障がない場合には、従来型の方が総合的にメリットが大きくなる可能性があります。

3-3. セキュリティとシステムリスクへの懸念

オンラインファクタリングでは、企業の重要な財務情報や取引先情報をインターネット経由で送信するため、情報セキュリティへの配慮が不可欠です。サイバー攻撃やデータ漏洩のリスクは、従来型の対面取引では存在しなかった新たな課題となっています。

システムの安定性も重要な懸念事項です。サーバーの障害やネットワークトラブルにより、急ぎの資金調達が必要な時にシステムが利用できなくなるリスクがあります。また、操作ミスによる誤った情報の送信や、不適切な書類のアップロードなど、ユーザー側の人的エラーによるトラブルの可能性も考慮する必要があります。

4. 最適な活用シーンと対象事業者の分析

4-1. 緊急性の高い資金需要への対応

オンラインファクタリングが最も威力を発揮するのは、緊急性の高い資金調達が必要な場面です。突発的な設備故障による修理費用、取引先からの急な追加注文に対する原材料仕入れ、従業員の給与支払い期日が迫っている状況など、時間的余裕のない資金需要に対して即座に対応できます。

建設業では、現場での予期せぬ追加工事により緊急に資材調達費用が必要になるケースが頻繁にあります。従来の銀行融資では審査に数週間を要するため間に合わない場面でも、オンラインファクタリングなら当日中に資金を確保し、工期遅延を回避することが可能です。

介護事業においても、介護報酬の入金サイクルが長いことから、急な設備投資や人員確保に必要な資金をオンラインファクタリングで調達するケースが増加しています。特に新型コロナウイルス感染拡大に伴う衛生用品の調達や施設改修では、迅速な資金調達が事業継続の鍵となりました。

4-2. 地方や遠隔地に所在する事業者の活用

地方に所在する中小企業にとって、オンラインファクタリングは地理的制約を克服する有効な手段となります。従来型ファクタリングでは都市部の会社まで出向く必要があり、交通費や移動時間が大きな負担となっていましたが、オンライン型では場所を選ばずに全国どこからでも利用できます。

北海道や沖縄などの離島部においても、インターネット環境があれば本土と同等のサービスを受けることが可能です。地方の製造業が首都圏の大手企業と取引する際の決済条件の違いや、観光業における季節変動による資金繰りの課題にも、迅速に対応できる柔軟性があります。

4-3. 個人事業主・フリーランスの小口資金調達

個人事業主やフリーランスにとって、オンラインファクタリングは従来利用困難だった小口の資金調達を可能にする画期的なサービスです。1万円から30万円程度の少額案件でも対応可能で、必要書類も請求書と銀行通帳のみで済むため、利用ハードルが大幅に下がっています。

Web制作やデザイン業のフリーランスが、プロジェクト完了後の請求書を基に次の案件の機材購入費用を調達するケースや、コンサルタントが研修実施前の会場費や資料作成費を捻出する場面で活用されています。従来の銀行融資では対応困難だった小口で短期の資金需要に最適です。

5. よくある質問

5-1. オンラインファクタリングは個人事業主でも利用できますか

オンラインファクタリングは個人事業主でも利用可能です。法人向けのサービスが多かった従来型と異なり、オンライン型では個人事業主やフリーランスを積極的に受け入れる会社が増加しています。必要書類も簡素化されており、多くのサービスで請求書と銀行通帳のみで申込みができます。

ただし、売掛先は法人である必要があります。個人間の取引や個人商店との取引による売掛債権は、一般的に買取対象外となります。また、個人事業主の場合は利用可能額に制限が設けられることが多く、初回利用時は10万円から30万円程度の上限が設定される場合があります。

5-2. 手数料以外に追加費用は発生しますか

オンラインファクタリングでは、手数料以外の追加費用はほとんど発生しません。従来型ファクタリングで必要だった債権譲渡登記費用、印紙代、交通費、郵送料などは基本的に不要です。多くのオンラインファクタリング会社では「手数料のみ」を明確に謳っており、透明性の高い料金体系を採用しています。

ただし、一部のサービスでは振込手数料が利用者負担となる場合があります。また、契約後に売掛債権が回収不能となった場合の調査費用や、利用者側の都合による契約変更に伴う事務手数料が発生するケースもあります。申込み前に利用規約を確認し、追加費用の有無を把握しておくことが重要です。

5-3. AI審査の精度は人的審査と比較してどうですか

AI審査は大量のデータに基づく客観的で一貫した判定が可能で、審査時間の大幅な短縮を実現しています。過去の取引データから統計的にリスクを算出するため、人的な主観や感情に左右されない公平な審査が行われます。また、24時間365日対応可能で、営業時間外でも即座に審査結果を提供できる利点があります。

一方で、AI審査は定型的でない特殊な案件への対応に限界があります。業界特有の商習慣や複雑な契約関係については、人的審査の方が柔軟に対応できる場合があります。しかし、多くのオンラインファクタリング会社では、AI審査で判定困難な案件については人的審査に切り替える仕組みを導入しており、両方の利点を活用できるよう工夫されています。

5-4. セキュリティ面での安全性は確保されていますか

信頼できるオンラインファクタリング会社では、金融機関レベルのセキュリティ対策が講じられています。SSL暗号化通信による情報の保護、多要素認証によるアクセス制御、定期的なセキュリティ監査の実施など、包括的な情報保護体制が整備されています。

電子契約についても、電子署名法に基づく法的効力を持つ電子署名とタイムスタンプが適用され、契約書の改ざん防止と法的証拠能力の確保が図られています。多くのサービスでは、一部上場企業でも採用されているクラウドサインなどの実績豊富な電子契約サービスを利用しており、技術的信頼性は高いレベルにあります。

5-5. 従来型ファクタリングとの使い分けはどう考えるべきですか

利用目的と案件の特性に応じて使い分けることが最適です。緊急性が高く、標準的な商取引の売掛債権である場合はオンラインファクタリングが適しています。一方、大口案件や複雑な契約関係、特殊な業界の売掛債権については従来型の人的審査が有効です。

金額面では、数万円から数百万円程度の中小規模案件はオンライン型、数千万円以上の大口案件は従来型が適しています。手数料を重視し、売掛先との関係に問題がない場合は、3社間ファクタリングが可能な従来型を選択することで、より有利な条件での資金調達が期待できます。

5-6. 悪質な業者を見分ける方法を教えてください

正規のファクタリング会社と悪質業者を見分けるポイントがいくつかあります。まず、手数料が異常に高い(30.0%を大幅に超える)場合や、償還請求権がある契約を提案する業者は避けるべきです。正規のファクタリングはノンリコース(償還請求権なし)が原則で、売掛債権が回収不能となっても利用者に責任を求めることはありません。

会社情報の透明性も重要な判断基準です。代表者名、所在地、電話番号が明確に記載され、実際に連絡が取れることを確認してください。また、極端に短期間での全額返済を求める、担保や保証人を要求する、分割払いを提案するなどの条件を示す業者は、実質的に貸金業を行っている可能性が高く注意が必要です。

6. まとめ

オンラインファクタリングは、デジタル技術の進歩により実現した革新的な資金調達手段として、中小企業や個人事業主の資金繰り改善に大きく貢献しています。従来型ファクタリングと比較して、圧倒的なスピード、手数料の削減、24時間対応の利便性など、多くの優位性を持っています。

特に緊急性の高い資金需要、地理的制約のある事業者、小口資金調達を必要とする個人事業主にとって、オンラインファクタリングは従来利用困難だった資金調達の機会を提供する画期的なサービスです。2020年4月1日施行の改正民法により法的根拠も明確で、適切に利用すれば安全で効果的な資金調達が可能です。

一方で、対面相談の制約、3社間ファクタリング選択肢の限定、セキュリティリスクなどのデメリットも存在するため、利用目的と案件の特性を十分検討した上で、従来型ファクタリングとの使い分けを行うことが重要です。信頼できる業者の選定と契約内容の十分な理解により、オンラインファクタリングを戦略的な資金調達手段として効果的に活用できるでしょう。

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