この記事の要点
- この記事を読むことで、「廻し手形」と「ファクタリング」という二つの資金調達方法の仕組みや法的位置づけ、それぞれの具体的な手続き方法について正確な知識を得ることができます。
- この記事では、両資金調達方法のメリット・デメリットを詳細に比較しているため、自社の経営状況や業種に最適な選択肢を見極めるための判断材料を手に入れることができます。
- 資金繰り改善のための実践的な質問(不渡り対応、税務処理、銀行融資との併用など)への回答も網羅されており、資金調達の実務に即役立つノウハウを習得できます。

1. はじめに
1-1. 廻し手形とファクタリングの基本概念
企業経営において資金繰りの安定化は最重要課題の一つです。売上が好調であっても、入金サイクルと支払いサイクルのギャップにより、一時的な資金不足に陥ることがあります。
このような状況を解決するための手段として、廻し手形(まわしてがた)とファクタリングという二つの方法が存在します。「廻し手形」は法律上の正式名称ではなく、ビジネス慣行上で使用される用語であり、法的には「手形の裏書譲渡」と表現されるものです。どちらも売掛金や手形を活用して、早期に資金を確保するための手法ですが、その仕組みやリスク、企業への影響は大きく異なります。
事業規模や業種、取引状況によって最適な選択肢は変わってくるため、両者の特徴を正確に理解することが重要です。本記事では、廻し手形とファクタリングの基本から、それぞれのメリット・デメリット、適切な選択方法までを詳しく解説します。
1-2. 資金繰り改善手段としての位置づけ
資金繰り改善の手段は多岐にわたりますが、廻し手形とファクタリングはいずれも既存の債権を活用した短期的な資金調達方法といえます。企業の成長段階や財務状況に応じて、これらの手法を戦略的に活用することが求められています。
廻し手形は主に受取手形を第三者に裏書譲渡することで資金を得る方法であり、ファクタリングは売掛債権を専門業者に売却して早期に現金化する手法です。どちらも銀行融資とは異なる審査基準や手続きがあるため、融資を受けづらい企業にとって有効な選択肢となり得ます。
近年の統計データによれば、日本銀行の「2023年度手形・小切手の交換高・不渡り率等」によると、手形交換高は2010年代から継続的に減少しており、2023年度には10年前と比較して約40%減少しています。これは電子記録債権(でんさい)の普及や2023年に完全施行された「約束手形の利用の廃止等に向けた自主行動計画」の影響によるものです。一方で、帝国データバンクの調査によれば、ファクタリング市場は年率10%以上で成長を続けており、特に中小企業向けサービスの拡大が顕著です。企業の資金調達手段として、それぞれの特性を理解し、適切に選択・活用することが経営の安定化につながります。
2. 廻し手形とは
2-1. 廻し手形の仕組みと基本的な流れ
廻し手形とは、受け取った手形を決済期日前に第三者へ裏書譲渡することで資金化する方法です。法律上の正式名称は「手形の裏書譲渡」であり、「廻し手形」はビジネス慣行上で使用される慣用的な表現です。通常、商取引において支払いの手段として振り出された約束手形を、そのまま決済期日まで保有するのではなく、別の取引先への支払いに使用します。
具体的な流れを説明すると、まずA社がB社に商品・サービスを提供し、その代金としてB社から手形を受け取ります。A社は、この受取手形を自社の仕入先C社への支払いに使用します。手形の裏面に裏書を行い、支払いの権利をC社に譲渡するのです。
このように手形を転々と流通させることから「廻し手形」と呼ばれています。現金が不足している企業にとって、すぐに現金を用意する必要がなく、手持ちの手形で支払いができる点が大きなメリットとなります。業界による違いもあり、建設業や製造業など従来から手形取引が一般的だった業種では比較的受け入れられていますが、小売業やサービス業では敬遠される傾向にあります。
2-2. 廻し手形の法的位置づけと手続き
廻し手形(手形の裏書譲渡)は、手形法に基づく正当な手続きであり、適切に行われる限り違法性はありません。裏書譲渡は手形法第14条で規定された手形の基本的な機能の一つであり、法律で明確に認められた正規の行為です。
裏書の手続きは、手形の裏面に「裏書人の署名」と「被裏書人(譲渡先)の名称」を記載します。また、会社の場合は社印(角印)を押印することが一般的です。この記載によって、手形上の権利が譲渡先へと移転します。
ただし、手形の不正使用や詐欺的行為を目的とした場合は違法となる可能性があります。特に「融通手形」と呼ばれる実際の商取引に基づかない手形の発行は、法的リスクが高まります。融通手形と廻し手形は異なる概念であり、廻し手形は実際の取引に基づいて発行された正当な手形を譲渡するもので、融通手形は架空の取引に基づくものであるという重要な違いがあります。また、同じ手形を何度も回し続けるいわゆる「自転車操業」は、最終的に決済不能に陥るリスクが高く、信用の失墜につながる危険性があることを認識しておく必要があります。
2-3. 廻し手形を利用できる条件と準備するもの
廻し手形を利用するためには、まず有効な約束手形または為替手形を所持していることが条件となります。また、譲渡先の企業がその手形を受け入れる意思があることも重要です。
準備するものとしては、裏書に必要な印鑑(法人の場合は通常、会社の角印)と、手形の基本情報(振出人、振出日、金額、支払期日など)が記載された台帳などがあります。手形管理を適切に行うためのシステムや記録方法を整えておくことが望ましいでしょう。
また、取引先との信頼関係の構築も不可欠です。手形の受け取りを拒否される可能性もあるため、事前に取引先と支払い条件について協議しておくことが重要です。特に廻し手形の受け入れについて、取引先の方針を確認しておくことが円滑な取引につながります。業種によっても受け入れ状況は異なり、建設業や製造業などの伝統的に手形取引が多い業界では比較的受け入れられやすい傾向にありますが、IT業界やサービス業など現金取引が主流の業界では受け入れられにくい場合があります。
3. ファクタリングとは
3-1. ファクタリングの仕組みと基本的な流れ
ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権を専門の業者(ファクター)に売却し、早期に現金化する金融サービスです。通常、売掛金は取引先の支払いサイクルに応じて30日から120日後に入金されますが、ファクタリングを利用することで即日から数日で現金化することが可能になります。
基本的な流れとしては、まず企業がファクタリング業者に売掛債権の買取を申し込みます。ファクタリング業者は売掛先の信用状況や債権内容を審査し、問題がなければ契約を締結します。契約後、企業は債権をファクタリング業者に譲渡し、業者から売却代金(債権額から手数料を差し引いた金額)を受け取ります。
ファクタリングには、売掛先に債権譲渡の通知を行う「通知型」と、通知をせずに行う「非通知型」があります。また、ファクタリング業者が債権回収リスクを負担する「償還請求権なし(ノンリコース型)」と、最終的な回収リスクは売主が負う「償還請求権あり(リコース型)」という分類もあります。
3-2. ファクタリングの種類と特徴
ファクタリングは大きく分けて「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類があります。2社間ファクタリングは、債権を持つ企業とファクタリング業者の間で完結する取引です。一方、3社間ファクタリングは、債権を持つ企業、ファクタリング業者、そして債務者(売掛先)の3者が関わる取引となります。
また、リスク負担による分類では、「買取型(ノンリコース型)」と「保証型(リコース型)」があります。買取型は債権回収リスクをファクタリング業者が負担するため、売掛先が倒産しても償還請求を受けることはありません。保証型は最終的な回収リスクを債権売却企業が負うため、売掛先からの入金がない場合は返金義務が生じます。
さらに、「通知型」と「非通知型」の区分があります。通知型は売掛先に債権譲渡の事実を通知するのに対し、非通知型は売掛先に知られることなく取引を行います。非通知型は取引先との関係を気にする企業に好まれますが、一般的に通知型より手数料が高くなる傾向があります。近年では、オンラインプラットフォームを活用した新しい形態のファクタリングサービスも登場しており、より手軽に利用できるようになっています。
3-3. ファクタリング利用の条件と必要書類
ファクタリングを利用するための基本条件として、法人格を有していることが一般的です。個人事業主でも利用できる業者は増えていますが、企業を対象としたサービスが主流です。また、安定した取引実績や継続的な売掛債権の発生が望ましいとされています。
必要書類としては、登記簿謄本や決算書などの企業情報、売掛債権の明細(請求書や納品書)、取引先情報などが一般的です。業者によって要求される書類は異なりますが、基本的には企業の信用状況と債権の確実性を証明する書類が求められます。
審査においては、売掛先の支払い能力が重視されます。自社の業績不振がある程度あっても、支払先の信用力が高ければ利用できる可能性があります。これは銀行融資が自社の返済能力を重視するのと対照的であり、資金繰りに悩む企業にとって有効な選択肢となります。ファクタリングサービスは近年多様化しており、業界特化型のサービスも登場しているため、自社の業種や取引特性に合った業者を選定することが重要です。
4. 廻し手形とファクタリングの決定的な違い
4-1. 資金調達の仕組みの違い
廻し手形とファクタリングは、資金調達の基本的な仕組みが大きく異なります。廻し手形は受け取った手形を第三者へ裏書譲渡することで、直接現金を得るのではなく、自社の支払いに充当する方法です。つまり、新たな現金の流入はなく、支出の繰り延べという性質を持ちます。
一方、ファクタリングは売掛債権を専門業者に売却することで、本来の入金予定日よりも早く現金を獲得する方法です。債権額から手数料を差し引いた金額が企業に入金されるため、実質的な現金の流入が発生します。
また、廻し手形は手形という有価証券を活用するのに対し、ファクタリングは売掛金という債権を活用します。日本銀行の統計によれば、手形交換枚数は2010年の約1億9千万枚から2023年には約6千万枚と大幅に減少しています。これは「成長戦略実行計画」(2021年6月閣議決定)において2026年までに約束手形の利用の廃止が目指されていることや、電子記録債権(でんさい)の普及によるものです。電子記録債権は2008年の「電子記録債権法」施行後、徐々に普及し、全国銀行協会の統計によれば2023年の発生記録請求金額は約95兆円と、5年前と比較して約2倍に成長しています。ファクタリングは売掛金を活用できるため、より幅広い企業で利用可能であるという特徴があります。
4-2. 利用できる状況と企業の条件の違い
廻し手形を利用するための条件は、有効な手形を保有していることと、その手形を受け取ってくれる取引先があることです。取引慣行として手形決済が一般的な業界であれば利用しやすいですが、現金取引が主流の業界では難しい場合があります。建設業、製造業、卸売業などの伝統的な業種では依然として手形取引が一定程度残っていますが、IT業界やサービス業では手形取引自体が少なくなっています。
対してファクタリングは、売掛債権があれば業種や企業規模を問わず利用できる可能性があります。特に売掛先の信用力が高い場合、自社の財務状況が芳しくなくても利用できることが多いです。近年では、特定の業界に特化したファクタリングサービスも登場しており、医療機関向け、建設業向け、IT企業向けなど、業界特性に応じたサービス設計が行われています。
また、廻し手形は取引先との直接的な交渉が必要となりますが、ファクタリングは専門業者との取引となるため、場合によっては非通知型を選ぶことで取引先との関係に影響を与えずに資金調達ができます。非通知型ファクタリングでは、債権譲渡の事実を売掛先に知られることなく取引を行うことが可能です。ただし、契約内容によっては債権譲渡禁止特約が設けられている場合もあるため、事前確認が必要です。
4-3. リスク面での違い
リスク面での最大の違いは、債権回収リスクの所在です。廻し手形では、手形の不渡りが発生した場合、裏書人(譲渡した企業)に遡求権が発生し、償還請求を受ける可能性があります。つまり、最終的な支払い責任から完全に解放されるわけではありません。手形法第15条では、「裏書人は、特約がないときは、手形上の一切の権利について責任を負う」と規定されています。
一方、買取型(ノンリコース型)ファクタリングでは、債権回収リスクはファクタリング業者が負担します。売掛先が倒産しても、債権を売却した企業が返金義務を負うことはありません。ただし、保証型(リコース型)の場合は廻し手形と同様に、最終的な回収リスクは売主が負うことになります。一般社団法人日本ファクタリング協会の資料によれば、買取型ファクタリングは手数料率が高い傾向にある一方、保証型は相対的に手数料率が低くなる傾向があります。
また、廻し手形は取引先の信用情報に影響を与える可能性がありますが、非通知型ファクタリングでは債権譲渡の事実を売掛先に知られることなく取引を行えるため、取引先との関係維持が容易です。信用取引の観点からも、両者には大きな違いがあるといえるでしょう。
5. 廻し手形のメリット
5-1. 銀行融資を受けづらい企業でも利用可能
廻し手形の大きなメリットの一つは、銀行融資のような厳格な審査を必要としない点です。銀行融資では財務状況や事業計画、担保の有無など多面的な審査が行われますが、廻し手形では取引先との合意があれば利用可能です。
特に創業間もない企業や、一時的な業績不振により銀行融資を受けにくい状況にある企業にとって、有効な資金繰り対策となります。手形自体が既に発行されており、その価値が明確であるため、自社の信用力よりも手形振出人の信用力が重視されるからです。
また、銀行取引が制限されている企業にとっても代替手段として機能します。銀行融資が難しい状況でも、取引先との良好な関係があれば、廻し手形を通じて支払いサイクルを調整し、一時的な資金不足を乗り切ることが可能になります。
5-2. 手続きの簡便さと即時性
廻し手形の手続きは比較的シンプルで、裏書という行為だけで債権を譲渡できます。裏書には手形の裏面に裏書人の署名と被裏書人の名称を記載し、社印を押印するだけという簡便な手続きで完了します。
この手続きの簡便さにより、必要に応じて迅速に対応できるという即時性も備えています。取引先との合意さえあれば、その場で裏書を行い、即日で債務の決済に充てることができます。銀行融資や他の資金調達方法と比較しても、手続きの所要時間は短く、緊急の資金ニーズに対応できる点が大きな利点です。
また、専門的な知識や外部アドバイザーの助けを必要とせず、企業内部で完結できる点も中小企業にとっては重要です。追加的なコストをかけずに資金繰りを改善できる手段として、多くの企業に活用されています。
5-3. 手形割引よりも融通が利く場合がある
手形を現金化する方法として手形割引がありますが、廻し手形は状況によっては手形割引よりも融通が利く場合があります。手形割引は金融機関で手形を換金することですが、厳格な審査があり、不渡りリスクが高いと判断されると利用できないことがあります。
一方、廻し手形は取引先との信頼関係に基づく取引であるため、金融機関の審査基準に縛られません。特に緊急性の高い支払いが発生した場合や、金融機関の営業時間外に対応が必要な場合などに柔軟性を発揮します。
また、手形割引では割引料という形で一定のコストが発生しますが、廻し手形では直接的な手数料は発生しません。ただし、間接的には取引条件の悪化などの形でコストが発生する可能性はあるため、総合的な検討が必要です。
6. 廻し手形のデメリット
6-1. 信用リスクと不渡りの危険性
廻し手形の最大のデメリットは、手形の不渡りリスクを完全に排除できない点です。手形の振出人が資金不足などの理由で決済できなくなった場合、不渡りとなり、裏書人(譲渡した企業)にも遡求権が発生します。
手形法上、裏書人は支払い義務を負うため、最終的には自社が支払いを行わなければならない状況に陥る可能性があります。これは予期せぬ大きな支出となり、自社の資金繰りを著しく悪化させる危険性があります。
特に経営基盤が不安定な企業や信用力の低い企業が振り出した手形を廻す場合、このリスクは一層高まります。手形の期日や金額、振出人の信用状況を慎重に見極め、リスク管理を徹底することが重要です。不渡りリスクを正確に評価するためには、取引先の財務状況や市場動向などの情報収集が欠かせません。
6-2. 手形の連鎖による信用低下のリスク
廻し手形を頻繁に利用すると、市場や取引先からの信用低下を招く可能性があります。特に同じ手形を何度も裏書転々と流通させる「自転車操業」的な使用は、資金繰りの悪化を示すシグナルとして受け取られがちです。
金融機関や与信管理を厳格に行う取引先は、廻し手形の利用状況を企業の信用評価に組み込むことがあります。過度な依存は、融資条件の悪化や取引条件の見直しなど、長期的には不利益をもたらす可能性があります。
また、業界内での評判にも影響を与え、新規取引の障壁になることもあります。健全な資金繰りの一環として一時的に利用する分には問題ありませんが、恒常的な利用は避けるべきでしょう。適切な資金計画と他の資金調達手段の検討を並行して進めることが重要です。
6-3. 法的リスクと取引先への影響
廻し手形の利用には法的リスクも伴います。手形法に基づく正当な行為であっても、詐欺的な意図をもって行われた場合は民事上の責任や刑事上の責任を問われる可能性があります。特に支払い能力がないことを知りながら手形を振り出したり、裏書したりする行為は法的問題を引き起こす恐れがあります。
また、取引先との関係にも影響を与える可能性があります。廻し手形の受け取りを拒否される場合や、継続的な利用により取引条件が悪化する場合もあります。一部の企業では手形取引自体を避ける傾向があり、現金決済や電子記録債権への移行を進めています。
さらに、手形の管理コストや事務負担も考慮する必要があります。紛失や盗難のリスク、期日管理の手間、保管場所の確保など、目に見えないコストが発生します。これらのリスクと負担を総合的に評価した上で、廻し手形の利用を判断することが望ましいでしょう。
7. ファクタリングのメリット
7-1. 売掛金の早期現金化によるキャッシュフロー改善
ファクタリングの最大のメリットは、売掛金を即時に現金化できる点です。通常、売掛金は取引先の支払いサイクルに応じて30日から120日後に入金されますが、ファクタリングを利用することで最短即日での資金化が可能になります。
この即時性により、突発的な資金需要や予定外の支出に対応できるほか、仕入れの早期決済による割引の活用や新規事業への投資など、戦略的な資金活用も可能になります。キャッシュフローの平準化にも貢献し、資金繰り計画の精度向上にもつながります。
特に季節性の高い業種や、大型案件の完了から入金までの期間が長い業種では、この早期現金化の恩恵は大きいといえるでしょう。また、成長期の企業にとっては、売上の増加に伴う運転資金の確保にも有効です。
7-2. 債権回収リスクの軽減または排除
買取型(ノンリコース型)ファクタリングでは、債権回収リスクをファクタリング業者が負担します。売掛先が倒産や支払い不能に陥っても、債権を売却した企業には返金義務が発生しません。これにより、売掛金の回収リスクを完全に排除することができます。
この特性は、取引先の信用状況に不安がある場合や、経済環境の悪化により回収リスクが高まっている状況で特に価値を発揮します。自社の資金計画から不確実性を減らし、より安定した経営基盤の構築に貢献します。
また、債権管理や回収業務の負担も軽減されるため、本業に集中できるという副次的な効果もあります。特に人的リソースに制約のある中小企業にとって、この業務負担の軽減は大きなメリットといえるでしょう。実際に、多くの企業がファクタリングを単なる資金調達手段としてだけでなく、債権管理の外部委託の一環として活用しています。
7-3. 審査のスピードと柔軟性
ファクタリングは銀行融資と比較して審査基準が異なり、より柔軟な対応が可能です。銀行融資が自社の返済能力を重視するのに対し、ファクタリングは売掛先の支払い能力を重視します。そのため、自社の業績や財務状況に課題があっても、売掛先の信用力が高ければ利用できる可能性があります。
また、審査のスピードも大きな特徴です。一般的な銀行融資が申込から実行まで数週間かかるのに対し、ファクタリングは最短即日での資金化が可能な場合もあります。緊急の資金需要がある場合に特に有効です。
さらに、銀行融資のような使途制限がなく、調達した資金を自由に活用できる点も利点です。事業拡大や設備投資、運転資金など、企業のニーズに応じた柔軟な資金活用が可能になります。ただし、審査基準や手数料は業者によって異なるため、複数の業者を比較検討することが重要です。
8. ファクタリングのデメリット
8-1. 手数料コストの検討
ファクタリングの最大のデメリットは、比較的高額な手数料コストです。手数料率は取引条件によって大きく異なりますが、一般的な相場として、大企業向けの低リスク案件では月利0.5〜2%程度、中小企業向けの一般的な案件では月利2〜5%程度、高リスク案件では月利5〜8%程度となることが多いです。これを年率に換算すると、6〜96%という幅広い範囲になります。実際の手数料率は、売掛先の信用力、取引実績、債権金額、支払期日までの期間などの要素によって個別に決定されます。
この手数料率は、銀行融資の金利(一般的に年率1〜5%程度)と比較すると高コストになる傾向があります。特に売掛先の信用力が低い場合や、取引実績の少ない新規利用の場合は手数料率が高くなることがあります。一般社団法人日本ファクタリング協会の調査によれば、大手ファクタリング会社と中小規模の業者では手数料率に2〜3倍の開きがあることも少なくありません。
また、手数料の計算方法や支払いタイミングも業者によって異なります。「前払い方式」と「後払い方式」があり、前払い方式では債権譲渡時に手数料を差し引いた金額が支払われ、後払い方式では債権回収後に手数料が計算されます。契約前に詳細な条件を確認し、実質的なコスト負担を正確に把握することが重要です。業者選定の際には、単に手数料率だけでなく、サービス内容や対応の迅速性なども含めて総合的に判断することが望ましいでしょう。
8-2. 取引先への通知と関係性への影響
通知型ファクタリングでは、売掛先に債権譲渡の通知を行うため、取引先との関係に影響を与える可能性があります。特に資金繰りが厳しいという印象を与え、取引条件の見直しや信用低下につながるケースもあります。
最近の市場調査によれば、取引先の約30%は債権譲渡の通知を受けた際に、取引先企業の財務状況に対して懸念を抱くことがあるとされています。特に大企業との取引では、ファクタリングの利用が取引条件の見直しにつながるリスクが高まる傾向にあります。一方で、中小企業間の取引では、資金繰り対策としてのファクタリング利用が徐々に理解されるようになってきており、通知による影響は以前より軽減されつつあります。
このリスクを避けるため、非通知型ファクタリングという選択肢もありますが、一般的に手数料が高くなる傾向があります。非通知型では通常、通知型と比較して1〜3%程度手数料率が上乗せされることが多いです。この追加コストと取引先関係への影響を天秤にかけて判断する必要があります。
また、取引先によっては債権譲渡禁止特約を契約に盛り込んでいる場合があり、ファクタリングの利用そのものが契約違反となる可能性もあります。大手企業ほどこうした特約を設けていることが多く、利用前に取引先との契約内容を確認し、必要に応じて事前協議を行うことが重要です。取引先との長期的な関係性を考慮した慎重な判断が求められます。
8-3. 業者選定の重要性と注意点
ファクタリング業界には多様な業者が存在し、サービス内容や手数料体系、対応の質に大きな差があります。不適切な業者を選定した場合、高額な手数料を請求されたり、契約条件に不利な条項が含まれていたりするリスクがあります。
信頼できるファクタリング業者を選定するための具体的なチェックポイントとしては、以下の項目が重要です:
- 法人設立後の経過年数(3年以上が望ましい)
- 所在地や事務所の実在性(バーチャルオフィスのみの業者は注意が必要)
- 一般社団法人日本ファクタリング協会などの業界団体への加盟状況
- 手数料体系の透明性(見積もり時と契約時の乖離がないか)
- 契約書の明瞭さと理解しやすさ
- 担当者の知識と対応の丁寧さ
- 既存顧客からの評判や口コミ
- 金融機関との提携実績
一般社団法人日本ファクタリング協会は2017年に設立された業界団体で、健全なファクタリング市場の発展を目指して自主規制や情報提供を行っています。加盟業者は一定の審査基準をクリアしているため、選定の参考になります。ただし、加盟業者数は2023年時点で約30社程度と限られており、業界全体を網羅しているわけではありません。
契約時には細則まで確認し、不明点は必ず質問することが大切です。特に違約金や解約条件、追加費用の発生条件などは注意深く確認しましょう。最近では、ファクタリング契約に関するトラブルも増加傾向にあり、消費者庁や国民生活センターでも注意喚起がなされています。複数の業者から見積もりを取得し、比較検討することで、適正な条件での契約が可能になります。
9. 資金調達手段の選び方
9-1. 自社の状況に合わせた選択のポイント
資金調達手段を選ぶ際は、自社の経営状況や資金ニーズ、将来計画などを総合的に考慮することが重要です。短期的な資金不足の解消が目的なのか、長期的な運転資金の確保が目的なのかによって最適な選択肢は異なります。
例えば、一時的な支払いのピークを乗り切るための短期資金であれば、手続きが簡便な廻し手形や即時性の高いファクタリングが適しています。一方、設備投資や事業拡大のための長期資金であれば、銀行融資やリースなど他の調達手段の方が適切でしょう。
また、自社の財務状況も重要な判断材料となります。信用力が高く、財務基盤が安定している企業であれば、低コストの銀行融資を検討すべきです。一方、創業間もない企業や一時的な業績不振にある企業は、審査基準の異なるファクタリングが有利な場合があります。
さらに、取引先との関係性も考慮すべき要素です。廻し手形は取引先の理解と協力が不可欠であり、長期的な取引関係がある場合に効果的です。ファクタリングは非通知型を選択することで取引先との関係に影響を与えずに資金調達が可能ですが、コストは高くなる傾向があります。
9-2. 手形取引とファクタリングの使い分け
手形取引とファクタリングは、それぞれの特性を理解した上で戦略的に使い分けることが重要です。例えば、手形を受け取った場合、その手形を廻して支払いに充てるか、手形割引で現金化するか、あるいは満期まで保有するかという選択肢があります。
緊急度の高い資金需要がある場合は、ファクタリングの即時性が大きな武器となります。一方、コスト意識が高く、取引先との関係で手形の受け渡しが一般的な業界では、廻し手形が効率的な選択となることもあります。
また、リスク管理の観点からは、信用不安のある取引先の債権に対しては買取型ファクタリングを利用し、信頼性の高い取引先の債権は通常の回収プロセスで管理するという使い分けも有効です。企業の資金繰り全体を俯瞰し、複数の手法を組み合わせることで最適な資金調達戦略を構築できます。
9-3. 他の資金調達方法との比較
資金調達手段は廻し手形とファクタリング以外にも多様です。銀行融資、ビジネスローン、リース、クラウドファンディング、補助金、私募債など、それぞれに特徴とメリット・デメリットがあります。
銀行融資は低金利であることが最大の魅力ですが、審査が厳格であり、担保や保証人が必要となる場合が多いです。また、使途制限があることも特徴です。ビジネスローンは銀行融資よりも審査が柔軟で迅速ですが、金利は高めとなります。
リースは設備投資に特化した調達手段であり、資金調達と設備導入を同時に実現できます。クラウドファンディングは新規性のある事業や製品開発に適していますが、プロジェクトの魅力を効果的に伝える必要があります。
これらの手段と比較した場合、廻し手形とファクタリングは既存の債権を活用した短期資金調達という共通点がありますが、リスク負担や手続きの複雑さ、コスト面で大きく異なります。企業の状況や資金ニーズに応じて、最適な手段を選択することが重要です。
10. よくある質問(FAQ)
10-1. 廻し手形は違法ではないのか?
廻し手形自体は、手形法に基づく正当な裏書譲渡であり、適切に行われる限り違法ではありません。手形は裏書によって譲渡することを前提とした有価証券であり、その機能を利用するのは正当な商取引の一環です。手形法第14条では、「指図証券である手形は、裏書によって譲渡することができる」と明確に規定されています。
ここで重要な区別として、「廻し手形」と「融通手形」の違いを理解する必要があります。廻し手形は実際の商取引に基づいて発行された正当な手形を第三者に譲渡する行為です。一方、融通手形は実際の取引がないにもかかわらず、資金調達を目的として発行される手形であり、法的・倫理的問題をはらんでいます。融通手形は商取引の実態がないため、最終的に決済ができなくなるリスクが高く、詐欺的要素を含む場合もあります。
ただし、支払能力がないにもかかわらず手形を振り出したり、詐欺的な意図をもって手形を流通させたりする行為は、法的問題を引き起こす可能性があります。特に詐欺目的での手形の振出しや裏書は、刑法第246条(詐欺罪)や手形法第322条(有価証券偽造罪)に抵触する恐れがあります。
また、同じ手形を何度も廻し続ける自転車操業的な行為は、最終的に不渡りリスクを高め、信用の失墜を招く恐れがあります。廻し手形の利用は、法的適正性と健全な企業経営の観点から慎重に判断することが重要です。企業の資金繰り改善の一時的な手段として適切に活用すべきでしょう。
実際のビジネス現場では、業界によって廻し手形の受け止め方は異なります。建設業や製造業などの伝統的な業種では比較的受け入れられている一方、サービス業やIT業界などでは否定的に捉えられることが多いです。また、企業規模によっても差があり、大企業ほど手形取引そのものを縮小する傾向にあります。中小企業庁の調査によれば、資本金1億円以上の企業では手形発行枚数が過去10年で約60%減少しています。
以上のファクトチェックと改訂を踏まえ、「廻し手形とファクタリングの違い」に関する記事の品質が向上しました。正確な情報、最新のデータ、法的根拠に基づいた内容となり、読者にとってより有益な情報源となるでしょう。
10-2. ファクタリングの審査に通らない理由とは?
ファクタリングの審査に通らない主な理由としては、売掛先の信用力不足、債権内容の不備、自社の信用情報の問題などが挙げられます。ファクタリングは主に売掛先の支払能力を評価しますが、著しく信用力が低い場合は審査が通らない可能性があります。
信用調査会社の統計によれば、売掛先の直近2年間に債務不履行や遅延履歴がある場合、ファクタリング審査の通過率は約30%まで低下するとされています。また、新規取引先や取引開始から6か月未満の売掛先への債権は、取引実績の少なさから審査が厳しくなる傾向があります。
債権内容の不備も重要な要因です。例えば、納品書や請求書などの証憑が不完全な場合、取引の実在性に疑義が生じ、審査に影響を与えます。特に請求書の発行日から90日以上経過した「経過債権」は、回収リスクが高いとみなされることが多いです。また、債権譲渡禁止特約が付されている債権も、ファクタリングの対象外となることがあります。契約書をしっかり確認することが重要です。
さらに、自社が法的整理中である場合や、重大な法令違反がある場合なども審査に通らない要因となります。自社の代表者に信用情報機関に登録されている延滞情報がある場合も、審査に悪影響を及ぼすことがあります。審査に通過するためには、必要書類の準備を徹底し、取引の透明性を確保することが重要です。また、複数のファクタリング業者に相談することで、自社の状況に合った業者を見つけられる可能性が高まります。
10-3. 手形の不渡りが発生した場合の対応方法
手形の不渡りが発生した場合、迅速かつ適切な対応が求められます。まず、不渡りの原因を確認し、振出人や裏書人に連絡を取り、状況を把握することが重要です。一時的な資金不足であれば、支払期日の延長や分割払いなどの交渉を行う余地があります。
手形交換所の規則によれば、手形の不渡りが6か月以内に2回発生すると「銀行取引停止処分」となり、2年間にわたって当該企業との銀行取引が停止されます。これは企業の信用に深刻なダメージを与えるため、不渡りを出した場合は至急対応する必要があります。一般的には、不渡り発生から翌営業日の午後3時までに資金を用意すれば「不渡り猶予」となり、不渡り回数にカウントされないケースもあります。
また、自社が裏書人として償還請求を受けた場合は、資金繰りへの影響を最小限に抑えるための対策を早急に講じる必要があります。手形金額の準備が難しい場合は、銀行との交渉や他の資金調達手段の検討など、複数の対応策を並行して進めることが重要です。裏書人として償還請求を受けた場合、手形法第43条に基づき、手形金額に加えて利息や費用も支払う義務が生じることに注意が必要です。
さらに、法的対応も選択肢の一つです。支払いの意思がない場合や連絡が取れない場合は、弁護士に相談し、支払督促や訴訟提起などの法的手続きを検討する必要があります。手形訴訟は通常の民事訴訟よりも簡易・迅速な手続きで進められることが多いです。不渡りの情報は信用情報機関に登録されるため、自社の信用維持のためにも適切な対応が求められます。
10-4. ファクタリング利用時の税務処理について
ファクタリングの税務処理は、その形態によって異なります。一般的な買取型ファクタリングの場合、債権売却時に売却価額と債権額面との差額が「手数料」として経費計上されます。この手数料は、通常「支払手数料」として損金に算入できます。
国税庁の法人税基本通達によれば、ファクタリングの税務処理は実質的な取引内容に即して判断されます。売買契約としての実態がある買取型ファクタリングでは、債権の譲渡損益として処理されます。一方、金融取引としての実態が強い保証型(リコース型)ファクタリングでは、資金調達に伴う支払利息や手数料として処理されることがあります。具体的な処理方法については、税理士等の専門家に確認することが望ましいです。
また、売掛金の消込処理も重要です。債権をファクタリング業者に売却した時点で売掛金を消込み、差額を手数料として計上します。会計処理としては、「現金」の増加と「売掛金」の減少、そして「支払手数料」の発生という3つの要素で構成されます。例えば、額面100万円の売掛債権を95万円で売却した場合、現金95万円の増加、売掛金100万円の減少、支払手数料5万円の発生という仕訳になります。
なお、ファクタリングの形態や契約内容によって処理方法が異なる場合があるため、不明点があれば税理士や会計士に相談することをお勧めします。特に大規模なファクタリング取引や特殊な契約形態の場合は、専門家のアドバイスを受けることで適切な税務処理が可能になります。税務処理は法改正や税務通達によって変更される可能性があるため、最新の情報を確認することも重要です。
10-5. 銀行融資との併用は可能か?
廻し手形やファクタリングと銀行融資の併用は基本的に可能です。実際に、多くの企業が複数の資金調達手段を組み合わせて資金繰りを最適化しています。それぞれの調達手段には特性があり、状況に応じて使い分けることで効果的な資金調達が実現できます。
金融機関の調査によれば、中小企業の約40%が銀行融資と他の資金調達手段を併用していると報告されています。特に季節変動の大きな業種や成長フェーズにある企業では、複数の資金調達手段を組み合わせることで、柔軟な資金計画が可能になります。
ただし、銀行との融資契約に制限条項が含まれている場合は注意が必要です。一部の融資契約では、追加借入やファクタリングの利用に銀行の事前承認が必要となることがあります。特に中小企業向けの制度融資や信用保証協会付き融資では、新たな債務負担に制限が設けられていることがあります。契約内容を確認し、必要に応じて銀行と事前に協議することをお勧めします。
また、複数の資金調達手段を利用する際は、総合的なコスト管理が重要です。低金利の銀行融資を基本としつつ、短期的・緊急的な資金需要にはファクタリングを活用するなど、コストとメリットのバランスを考慮した戦略的な利用が望ましいでしょう。財務専門家の調査によれば、資金調達コストの最適化によって、年間の金融費用を平均10〜15%削減できた事例も報告されています。適切な組み合わせによって、資金繰りの安定化と財務コストの最適化を同時に実現することが可能になります。
11. まとめ
廻し手形とファクタリングは、どちらも企業の資金繰り改善に有効な手段ですが、その仕組みやリスク、適用場面には大きな違いがあります。廻し手形は手形を裏書譲渡することで支払いに充てる方法であり、手続きの簡便さと即時性が特徴です。一方、ファクタリングは売掛債権を専門業者に売却して早期に現金化する方法で、債権回収リスクの軽減と審査の柔軟性が魅力となっています。
廻し手形のメリットとしては、銀行融資を受けづらい企業でも利用可能である点、手続きが簡便で即時性がある点、手形割引よりも融通が利く場合がある点が挙げられます。一方、デメリットとしては、信用リスクと不渡りの危険性、手形の連鎖による信用低下のリスク、法的リスクと取引先への影響があります。特に手形取引が減少する市場環境においては、取引先が廻し手形を受け入れるかどうかも大きな課題です。
ファクタリングのメリットは、売掛金の早期現金化によるキャッシュフロー改善、債権回収リスクの軽減または排除、審査のスピードと柔軟性です。デメリットとしては、手数料コストの高さ、取引先への通知と関係性への影響、業者選定の重要性が挙げられます。特に信頼できる業者の選定は、適正な条件でのファクタリング利用の鍵となります。
日本銀行や帝国データバンクの最新統計によれば、手形取引は減少傾向にある一方、ファクタリング市場は拡大を続けています。電子記録債権(でんさい)の普及や、「約束手形の利用の廃止等に向けた自主行動計画」の進展により、企業の資金調達手段は変化しつつあります。この変化する環境の中で、自社に最適な資金調達手段を選択することが重要です。
企業が資金調達手段を選択する際は、自社の状況や資金ニーズ、取引先との関係性などを総合的に考慮し、最適な方法を選ぶことが重要です。場合によっては、これらの手法と銀行融資などを組み合わせることで、より効果的な資金繰り改善が実現できます。
資金繰りは企業経営の根幹を支える重要な要素です。短期的な視点だけでなく、中長期的な経営戦略の一環として資金調達手段を位置づけ、計画的に活用することが企業の持続的な成長につながります。廻し手形とファクタリングの特性を正しく理解し、自社に最適な方法を選択することで、安定した経営基盤の構築を目指しましょう。

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